雑踏

別にいつもつまらない風景を見ているわけでもなく、結果として写したものがつまらなかっただけで、その理由もわからずずっと、花とか、笑っている女の写真ばかり撮ってきたが、試しにノーファインダーで、さらにハイコントラストのフィルターをかけてみたら、少しだけ自分の見ている世界に近づいたような気がした。
疲れていると思いつつ、安い居酒屋で定食と日本酒二合飲み、帰りの電車でうたた寝しても、酔いが抜けないので、通いつめているタイマッサージで前田敦子に似た女を指名して、一時間ほど気絶している。だから大抵女が何をしているかなんて僕は知らないのだが、今日は明るい部屋で女がしきりに話しかけてくるから、ようやくマッサージをされていることに気づいた。「わたしもうすぐ誕生日なの」と言われて少し動揺してみたけど、きっとこういう時金持ちで下心があればヴィトンなんか買ってやるんだろうけど、あいにくどちらも持ち合わせていないので、小田急でチョコレートでも買ってごまかそうかと考えている。