2018-09-24から1日間の記事一覧

断章十

佐久間みゆはぼくが1年目に恋をした3人の中で一番最後に現れた。「クラスの名簿ができたよ」さおりはいつも明るかった。初めて好きだと言った日と比べて髪も伸びて女の子らしくなっていた。 その数日前、学生食堂へ向かうなだらかな坂道で、ラクロスのラケッ…

断章九

「おおかみさんになっていい?」なんでそんなことを聞いたのかわからない。多分陽子との関係性に苛立ちと言うか違和感というかそういうのを感じていたのかもしれない。「ひつじさんでいて」陽子は呆れすぎていつになく低い声で答えた。言われてみればぼくは…